高齢者の方に

健康寿命を伸ばそう

長く人生を歩まれてきた先輩方、平均寿命は80歳をすぎるほどに伸びました。元気にウオーキングやランニングをされる方をよく見ます。健やかに老いたいものです。
お口の働き 食べる、噛み切る、すりつぶす、咀嚼する、味わう、味覚、話す、発声する、発音、コミュニケーションをとる、顔の形を整える、笑う、歌う、表情を豊かにする、美しさ、力を入れる、くいしばる、バランスをとる、呼吸をする…。    
口が口としてよりよく機能する歯科的健康は日々の生活するうえで大変大切なことです。障害や病気を持ちつつも少しでもよりよく生活できるよう、口の健康を通して支援します。
よく噛み、よく食べ、よい身体、その方の人生観に沿って、死ぬまでおいしく食べておしゃべりをして生きたいものです。

「8020」という言葉を知っていますか?「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」歯を残すことが食べる、話すなどの口の働きにとって大切であるということです。
20本以上ある方は着実に増加しています。

歯がなくなったら

周辺に歯が残っていればブリッジといって残った歯に冠をかぶせて橋渡しをすることでなくなった歯を取り戻すことができます。
セメントで固定接着します。
欠損部位が大きければ入れ歯を作ります。歯茎で咬む力を負担します。出し入れをしますので手入れをしてください。
歯がなくなっても入れ歯を入れて慣れていただきます。
お口に合った入れ歯で「お新香も食べられますよ」といってくださることが歯医者になった喜びです。

フレイル、虚弱 ―老化の悪循環をくいとめる―

年をとっていくと時間がかかるようになってきます。普通にできていたことができなくなっていきます。長く使ってきた身体ですから何かと問題もでてきます。思ったように身体は動きません。「体力や筋力が低下」、慎重になっていきます。「人と接する機会が減ったり、食生活がバランスを欠いたものになって」、「ますます体も衰え」さらには「判断力・認知機能」いわゆる頭の働きも低下、といった悪循環が起きる、これがフレイルです。
(1)たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食事をとろう。
(2)ストレッチ、ウオーキングなどの運動をしよう。
(3)身体の活動量や認知機能を定期的にチェック
自分では難しいですが、医療機関や周囲の人に協力してもらい気をつける。
(4)感染予防
高齢者の体力がガクッと落ちるきっかけとして、肺炎などがあるので、予防のために、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種を受けるのも大切。
(5)手術の後は栄養やリハビリなど適切なケアを
病気などで入院したのをきっかけに体力が落ちることが多いので、リハビリもしっかりと。
(6)薬の種類が多い人は主治医と相談

お口の健康から(フレイル、虚弱)老化の悪循環をくいとめるよう!

「老人力」がつく? 赤瀬川原平

人間、歳を取ると物忘れがひどくなるというのは誰しもあることで、えーと、何だったかな…、ということがよくある。よくあるというよりぐんぐん増えてきていて「えーと、何だったかな…」と聞くと、家人に「知らない!」と言われたりする。あまり繰り返しているとたしかに「ご自由に」という感じにもなる。
そんなことを何度も繰り返していて「おっしゃることはわかります」といったので大笑いした。確かにおっしゃろうとすることはわかっているのだ。お互いにわかっているんだけど、ただその名前だけが出てこない。でも話はわかっているので話はつづけられる…。
ふつう歳をとったとか、モーロクしたとか、あいつもだいぶボケたとかいうんだけど、そういう言葉の代りに、「あいつもかなり老人力がついてきたな」というふうに言うのである。そうすると何だか、歳をとることに積極性が出てきてなかなかいい。
歳をとって物忘れがだんだん増えてくるのは、自分にとって未知の新しい領域に踏み込んでいくわけで、けっこう盛り上がるものがある。
宇宙船で人生に突入し、幼年域―少年域―青年域、となんとか通過しながら、中年域からいよいよ老年域にさしかかる。そうすると今までに体験されなかった「老人力」というのが身についてくるのだった。
それがしだいにパワーアップしてくる。がんがん老人力がついてきて、目の前にどんどん「物忘れ」があらわれてくる。
老人域までこなくても、人間にはもともと忘却力というものが備わっているのだ。記憶力のエンジンがうんうんと唸りをあげて回っていると、そのシャフトの反対側では忘却力が放出される。
――赤瀬川原平著「老人力」より――
歳をとるのもいいかなと思わせる本でした。

誤嚥性肺炎

お口の中のものは咽喉から食道,胃に行くのですが、知らぬ間に気管に入ってしまう(誤嚥)ことがあります。気管では異物を出すためにむせますがお口の機能が落ちている方は肺まで行ってしまうことがあります。そのときにお口の中が汚れたままでたくさんの細菌があれば肺炎を起こしてしまいます。近年の死因第3位は肺炎です。
日々のお口の掃除が影響します?
外出するのが難しい方、訪問診療をします。専門的にお口の掃除をします、掃除の仕方をお教えしますのでご相談ください。

認知症

中核症状(記憶、見当識、実行機能障害、失行、失語、失認など必ず認められる症状)、周辺症状(中核症状があることによっておこる)本来できることが混乱してできなくなってしまったり、感情が抑えられなくなることがあり、結果的に身体疾患の悪化やADLの低下まで引き起こすことがあります。
本人にとって心地よく安心できる環境であれば、中核症状があってもその人らしさが出て、穏やかな心で、持てる力を十分に発揮できると考えられています。
バリデーション療法(バリデーション療法の特徴は、痴呆症の方が騒いだり、徘徊したりすることにも「意味がある」として捉え、なぜ騒ぐのか、なぜ徘徊するのかを患者の歩んできた人生に照らして考えたり、共に行動したりするというもので、「共感して接すること」に重点を置いた療法です。)を参考にTLC(テンダー・ラビング・ケア tender.loving.care)をもとに長い人生を歩まれた先輩として接していきたいと思います。
お気軽に相談してください。

定期健診見ることは

カリエス、歯周病を検査し歯だけを診るのでなく、お口の中から、世間話でもよい、生活の変化をみつめるヘルスプロモーション、健康増進を一緒に考えます。清掃状態、咬合状態、口腔内の説明指導から生活の再考、必要があれば高次医療機関へ紹介、サポート体制としての定期健診です。包括支援センターなどと協力して老人力を見守っていきたいです。